IL5Rα
IL5RA–AF17121ペプチド複合体

IL5RA–AF17121ペプチド複合体の共晶体は非常に小さく、シンクロトロン放射光による構造解析に必要な結晶サイズを満たしていませんでした。

最終的に、MicroEDを用いることで3Å分解能の構造解析に成功しました。

 

背景

IL-5はTh2細胞から分泌されるサイトカインであり、好酸球の機能調節に関与し、T2-low型喘息や好酸球増多症候群などとの関連が知られています。

IL-5がIL-5受容体(IL-5R)に結合することでシグナルが活性化されるため、IL-5受容体の活性化を阻害することが研究の一つの方向性となっています。

AF17121はIL-5の阻害ペプチドであり、2019年に報告された研究によると、IL-5受容体α鎖(IL5RA)に結合することで、IL-5の受容体への結合を阻害することが示されています。

ReadCrystalは、MicroED技術を用いてIL5RA–AF17121ペプチド複合体の構造解明に成功しました。

 

結果

1. タンパク質の発現および精製

IL5RAタンパク質は発現時にインクルージョンボディ(封入体)を形成しやすく、まずはこれらの封入体を回収し、精製およびリフォールディング(再構築)を行うことで、90%以上の純度を有する可溶性IL5RAタンパク質の取得に成功しました。

その後、IL5RAとペプチドAF17121をインキュベートし、ゲルろ過クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィー)によりIL5RA–AF17121複合体を精製しました。

 

 

図1 ゲル濾過クロマトグラフィーとSDS-PAGEの結果

 

2.タンパク質の結晶化および回折データの取得

複数の結晶化条件を検討しましたが、X線回折に適したサイズの結晶を得ることはできませんでした。

そこで、10 μmサイズの結晶を銅グリッド上に配置し、クライオFIB(Focused Ion Beam)により厚さ200 nmの薄片を作製。その後、MicroEDにより回折データを取得しました。

 

図2 クライオ-FIBおよびマイクロED回折データ

 

A 10μmサイズの結晶;B 銅グリッド上に配置された結晶をクライオ-FIBで200nmの厚さに切断した状態;C マイクロED回折データ

 

3.構造決定

収集した回折データをもとにデータ処理ソフトを用いて解析を行い、IL5RA–AF17121ペプチド複合体の構造を3Åの分解能で決定しました。

 

図3 IL5RA-AF17121ペプチド複合体の三次元構造